これは考えさせられますね。。。
「TIME SMART お金と時間の科学」
「将来時間ができて......」その将来はやってくるのか
「TIME SMART お金と時間の科学」
「将来時間ができて......」その将来はやってくるのか
自分にどれだ けの時間が残っているのかは、誰も知らないのだ。
小学校に向かってキャンパスを歩いているとき、路地に座り込んで痛みで呻いている男の人に出会った。時間があると言われていた学生のほとんどは、足を止めてその人を助けた。ところが、急いでいた学生で、助けた人は全体の1%に満たず、大半は、男の人に目もくれなかった。 「私自身が行なったものもいくつか含めて、他の調査も同じ一般的な結論を示している。自分はタイム・リッチだと感じている人のほうが、ボランティア活動をしたり、 地元の政治家とかかわったり、子どもの通う学校の手助けをしたりする可能性が高い。 また、日常生活で時間をとってリサイクルやコンポストづくりをしたり、省エネ型の 電化製品を購入したりして、エコフレンドリーな暮らしをする傾向が強い。 「時間のもつ向社会的な性質を思い起こすだけでも、時間に関してより良い決定を下すことができる。
午後7時から1時間の余暇があるとする。その1時間に、メールが2通届き、両方 をチェックし、1通に返信する。ろくでもない自慢話や、ひどい人間がしているひど い発言についてのツイッターの通知が4通届き、そのうち1通へのさまざまな返信に ざっと目を通す。質問や頼み事のためのスラックの通知が同僚から3通届き、そのう ち1通に返信し、2通は無視する。リマインダーが、明日は母親の誕生日だから電話 しなくてはいけないことを知らせてくれる。次の週末のプランを立てようとしている 友人から携帯メールが4通届き、4通とも返信する。
どれもそれ自体はありきたりで、たいして時間はかからない。けれど、全部合わせ れば望ましくない影響が2つ出る。第一に、あなたの自由時間からたっぷり時間が奪 い取られる。
第二は、タイム・コンフェッティのより侵略的な影響で、1時間の余暇が分断され てしまうことだ。おそらく中断は、1時間の中にランダムに散らばっている。
。私たちはどういうわけか、お金を手に入れれば、 将来、幸せを買うことができると信じ、一生懸命働いてもっとお金を稼げば、あとで もっと余暇が手に入るだろうと考える。これは間違った解決策だ。ほどなく、これが 正しい解決策の正反対であることがわかるだろう。富を追い求めることを重視するの は罠であり、それは、富の追求をもっと重視することにつながるだけだからだ。
たとえば、ほんの少し値段を下げるために、飛行機を乗り継ぐ空の旅を予約すると きには、タイム・トラップに陥っている。それで飛行機代は300ドル節約できると しても、片道4時間ずつ休暇の時間が減り、早起きしたり飛行機を乗り換えたりする せいで疲労とストレスが増す。休暇を8時間、つまりまる1日の仕事に相当する分だ け増やし、しかもストレスと疲労を軽減するためなら、あなたは300ドル払うのではないか。
テクノロジーは、独りで考え事をするのを避ける助けになるかもしれないけれど、 ストレスとタイム・プアを招く罠でもある。
私たちのほとんどは、自分の未来の時間について楽観的過ぎ 日より明日のほ うが時間があるだろうと、愚かにも思い込んでいる。これは「プランニングの誤謬」 と呼ばれることがある。
未来 にはたっぷり空き時間があるように見える――ただしそれは、その未来が現在になる までの話で、あのときイエスと言わなければ良かった、と私たちはしばしば後悔する。
アメリカ人は食事を楽しむよりも、 何を食べるかを選ぶのに多くの時間をかける。フランス人は味わうことを重視するので、食事からより大きな満足感を得て、ストレスの軽減を感じる。
時間にとって最大の敵である私たちの仕事でさえ、捉え方を変えることができる。 工事現場や1日中立ち詰めの小売店などで、身体に負担の大きい仕事をしている人は、 身体を使う活動の捉え方を変えることができる。人々は、そうした身体への負担を、 「運動」と考えると、仕事がもっと好きになり、前より体調が良いように感じること が、調査からわかっている。ある調査では、ホテルの客室係たちに、彼らが仕事でし ている活動は、活発で健康な人であるために推奨される活動レベルに達していると告 げた。このように見方を変えただけで、客室係たちの体重や体脂肪や血圧に大幅な改 善も見られた。
私が行なっている臨死体験の研究からは、時間を大切にすることの時間的な価値を 示す絶好の結果が得られる。死にかけたことのある人は、時間が前よりゆっくり流れるように感じる。彼らは日常の経験を以前よりありがたく思い、職業上生産的な目標よりも人づき合いに的を絞った目標を優先する。
私 の計算では、自ら出かけていったり、インターネットで見て回ったりしてお買い得品を探すのは、たいてい、かかる時間に見合わない。
パートナーもスマホでゲームをしているところを目にするので、注意する。する 知らないうちにやっていた、と言う。私たちの誰もが、そうした癖をもっている。あまり考えることもなく、ついやって しまう活動だ。悪いことではない。不安やストレスから気を逸らせば、元気が回復す る。ときおり甘いおやつを食べるのと同じようなものだ。ところが、「ときおり」が 癖になると、その活動は時間の浪費を招く不健全なものに変わり、人とのつながりや、 もっと良い、タイム・リッチな活動から私たちを切り離してしまう。
この戦略に積極的に取り組もう。頻繁にメールを送りつけてくるウェブサイトがあ れば、配信先リストから自分のアドレスを削除する。ニュースレターなど、定期的に 送られてくるものは、あとで読むためのフォルダーに回す。
要するに、休暇にいくらかかったとか、ハウスクリーニング業者が金銭的投資に見 合う働きをしたかどうかとか、考えないことだ。その代わりに、友人や家族ともっと 時間を過ごせて、あるいは、大切なパートナーといっしょに布団にくるまりながら映 画を楽しめて、どれだけ素晴らしいか、考えるといいだろう。
この調査結果は重要だ。私たちのほとんどは、仕事を選ぶとき、簡単に測定できる 基準である給料や評判を重視し過ぎ、仕事に費やすことになる時間にどれだけ価値が あるかや、仕事のせいで、働いていないときの時間がどのように束縛されるかには、あまり目を向けない。それは1つには、富が人生を良いものにする程度を過大評価し ているからだ。
人は幸福を生み出す状況を予知することも予測することもできない。
時間の浪費は怒りとストレスを増大させる
「同僚とランチを食べるといった簡単なことが、途方もなく重要になりうる。同僚 がこれを推奨し始めると、私はやる気が出たし、チームの士気も高まった。あらゆる 任務がやりやすくなった。なぜなら、ちょっとした人づき合いのできる休憩がとれる とわかって、みな楽しみにしていたからだ」
仕事よりも余暇を大切にす る国々のほうが幸せで、景気の低迷のような経済的なショックが引き起こす精神的動 揺にもうまく対処できることがわかっている。
私たちは、豊かか貧しいか、既婚で子どもがいるか、それともシングルか、若いか 高齢かなどに関係なく、お金よりも時間を大切にすれば幸福感の増大につながることがわかっている。