大人が読むべき童話ですね。

「宝の地図」

 「僕は財宝のありかが記された地図を持っているよ」。あるとき、1人の男がいいました。それを聞いた隣人は、地図を手に入れるため、持ち主の男を殺しました。そして財宝探しの旅に出ました。やがて期待通り、ダイヤモンドと金の山がみつかりました。光輝く財宝の上に腰を下ろしたとき、男は幸せを感じたと思いました。しかし、何年かあとにこの世を去る間際、男の心は悲しみと後悔に満たされていました。

 「わたし、財宝のありかが書いてある地図を持っているの」。あるとき、1人の女がこう言いました。隣人の女はたずねました。「いくら出したら、わたしに譲ってもらえるかしら?」「お金はいらない」。最初の女は答えました。「そのかわり、あなたと一緒に財宝探しの旅に行かせて」。

 ところが隣人は地図をひったくると、全速力で逃げました。期待通り、財宝が見つかりました。女はひと息入れて財宝の上に腰を下ろし、光り輝く宝石をほれぼれと眺めて、自分は本当に幸せだと思いました。しかし、何年かあとにこの世を去るとき、この女の心も悲しみと後悔に満たされました。

財宝のありかが書いてある地図を持っているんだ」。あるとき、1人がこう言いました。隣人はたずねました。「どうすればその地図を見せてもらえる?」「財宝探しの旅に、一緒に行かないか」。地図の持ち主は答えました。

 そこで2人は出かけました。2人で地図をよく見て、その道を行けばいいか、旅先で何が必要になるか、話し合いました。道順や持ち物についてもいろいろなアイディアが出ました。やっとのことで準備が整い、2人は旅に出ました。旅の途中で、1人が水と食料を見つけました。2人は針葉樹の葉を針にして、衣服のやぶれを縫いました。シェルターを作っては、燃料を見つけて暖を取り、旅を続けました。一人が星に詳しかったので、星を読みながら旅をして回りました。もう1人は作物に詳しかったので、2人は大地の恵みを収穫することができました。2人はときおり、歌も歌いました。1人はダンスが上手でした。

 そのうちに2人は歩き回ることに疲れてしまい、住まいを定めることにしました。そして、庭の手入れもしながら、共同生活を送るようになりました。

 「この料理はおいしい」。1人が皿に塩とコショーを振りながら、言いました。「きれいな花!」。もう1人がテーブルの上の花を眺めながら言いました。

 やがて地図は黄ばみ、何度も折りたたんだので傷んできました。紙がもろくなってインクがはげていき、しまいにはほとんど判読できなくなりました。1人がこの世を去り、残された1人は大きな悲しみに包まれました。しばらくして、もう1人もこの世を去りました。

 宝は手にせずじまいでしたが、世を去るとき、ともに後悔の気持ちはありませんでした」

幸福の秘密―失われた「幸せのものさし」を探して